【リィンカーネーションの花弁】10巻(最新刊)のあらすじ
東耶の修行も最終段階を迎えています。
修業期間が短く、付け焼刃なのは否めません。
但し、それでも十兵衛は東耶にみっちり教え込んだと言います。
それでも、十兵衛は東耶に「あまり身構えるな」と忠告します。
全てをこなせるわけではないので、「大事なのは我慢とはったり」と東耶は肝に銘じます。
灰都は心身ともに弱っていました。
そこで十兵衛は、長丁場に持ち込んだうえで、灰都が崩れるのを待つ作戦です。
そこで十兵衛は東耶に、長丁場に備えて羽織を渡しました。
それは、廃屋にあったのを彼が修繕したものです。
内のポケットには文があり、戦いが終わってから見るように言います。
それから十兵衛は、自分の愛刀を東耶に手渡しました。
十兵衛は東耶に「受け継ぐのは、眼だけで良いのか?」と尋ねます。
東耶が即答をためらうと、「英断とは思えん」と十兵衛が続けました。
すると東耶は「決めたことなので」と応えます。
東耶は、柳生新陰流勢法を受け継がないことに決めていました。
東耶にとって十兵衛の剣術を受け継ぐことは、彼の剣を盗むことに等しかったからです。
東耶がそれを是としなかったので、十兵衛の方も気持ちが救われていました。
「あくまでで自分の力で向き合いたいわけだ」と十兵衛が言うと、東耶は「そんな恰好いいものじゃないですよ」と謙遜します。
十兵衛は、そうした東耶の潔さこそ、灰都を闇から救い出す光になると確信しています。
それでも「恰好つけろよ、恰好いいぞ」と十兵衛は励ましました。
東耶は素直に頷きながら、指南の礼を述べるのでした。
「では、行きます」と言って、東耶は廃屋に向かいます。
傍らにいる十兵衛は、これまでの東耶の修練を振り返ります。
そこで分かったのが、彼が如何に飲み込み早く、忍耐強いかです。
彼は廻り者にならなくても、一角の人物になったに違いありません。
しかし、「それ以上に読み切れない男だ」と十兵衛は評価しました。
東耶が剣術の継承を断ると言った時、十兵衛は驚いて彼に詰め寄りました。
「我が勢法に不満があるというのか!?」と尋ねると、東耶は「柳生新陰流勢法は廻り者になってからあみだしたものですよね?」と返します。
そして東耶は、柳生の剣術は色んな「繋ぎ目」が極端に少ないと言います。
それは、あらゆる攻撃を見切って差し込む攻撃でした。
柳生の剣術は、ひとたび攻勢に出れば途切れない連撃となるのが強みです。
徹底的に無駄が省かれた戦法は、確かな「眼」を前提にしています。
当然、柳生新陰流勢法は、その戦法から発展したもでした。
それを聞いた十兵衛は「いかにも、枝に与えられたのは眼のみ」と応えます。
真陰流は十兵衛が「眼」を持ってから編み出したものだといいます。
それは、十兵衛が全国行脚の中で、死に物狂いで習得した剣術でした。
十兵衛は剣聖の廻り者に、何度も対峙を願い出ました。
そこから、攻守ともに全く無駄のない剣術が生み出されたわけです。
「それが、手を伸ばせば手に入る…」として、尚更盗めないと東耶は告げるのでした。
【リィンカーネーションの花弁】10巻(最新刊)の目次
・第48輪「継ぐもの継がれぬもの」
・第49輪「灰都戦-その壱-」
・第50輪「灰都戦-その弐-」
・第51輪「灰都戦-その参-」
・第52輪「夜明け」